株式会社ジム
〒102-0074 東京都千代田区九段南4-7-22 メゾンドシャルー407
TEL:03-3230-3722 FAX:03-3230-4327
- 設立
- 1981年
- 資本金
- 1,000万円
- 従業員数
- 17名(グループ含む)
- 取引銀行
- みずほ銀行(市ヶ谷支店) 三井住友銀行(飯田橋支店)
- 事業内容
- グラフィックデザイン
- WEBデザイン
- 映像制作
- 展示会装飾デザイン
- HP
- https://www.gym-ts.com/
株式会社ジム
〒102-0074 東京都千代田区九段南4-7-22 メゾンドシャルー407
TEL:03-3230-3722 FAX:03-3230-4327
この記事のポイント
・共感を得るためにはストーリーの設計が重要
・広告やマーケティングでもストーリーの重要性が注目されている
・古今東西の映画を題材に、ストーリーの「型」を学んでみよう
「面白い作品は、国境も言語の壁も超える!」
映画や小説の褒め言葉として、よくこんな表現を目にしますよね。
でもちょっと待ってください。それって本当でしょうか?
その代表例が「笑い」です。リアクション芸的な笑いは万国共通でしょうが、
一方でコメディは、その国の文化や言語に依存する割合が大きいジャンルでもあります。
例えばハリウッド映画を観ていて「この会話シーンはおそらくギャグなんだろうが、よく意味がわからない…」
と感じてしまった経験は無いでしょうか。
キリスト教や人種ステレオタイプなど、日本人になじみの薄いネタって、
誰かに解説してもらわないとなかなか理解できないですよね。
欧米でヒットしたコメディ映画が、日本を含むアジア圏では劇場未公開になってしまうパターンも、映画オタクには「あるある」な光景です。
そこで重要になるのが「ストーリー」です。
「主人公が苦難を乗り越えて勝利を手にする」「男女が様々な障害を乗り越えて愛を実らせる」
このような良い意味で最大公約数的なトピックは、文化の違いに影響を受けにくい傾向があります。
これは広告業界でも共通です。特にグローバルブランドのコミュニケーションでは
「家族のつながり」など、文化に依存しにくいトピックを取り上げることが一つのパターンとなっています。
P&G “Best Job”
共感できるストーリーを企業コミュニケーションに活用すること。
国内のマーケティング事例でも、この手法はもはや定番となっています。
例えばバルミューダの製品サイトでは、製品開発の経緯がストーリー仕立てで解説されています(※)。
プロジェクトそのものが紆余曲折した過程も赤裸々に語られており、思わずその苦労に感情移入してしまうような一幕も…。
しかし、これによってバルミューダの「先駆的で、ベンチャー気質な家電メーカー」というブランドイメージを
(さらに言えば“そんな挑戦的なブランドを選択するオレって、やっぱり他とはちげーぜ…”という消費者の満足感を)より強固なものとしています。
つまり、より多くの人々に共感してもらえるストーリーづくりのメソッドは、
ビジネスでも活用できる「コミュニケーションの技術」と言えるのです。
それでは、そのような技術はどうやって身につければいいのでしょうか?
さて、少々前置きが長くなりましたが、今回は魅力的なストーリー作りを学ぶことができる書籍として
「映画は父を殺すためにある 通過儀礼という見方」をご紹介します。
本作は宗教学者の島田裕巳さんが通過儀礼(イニシエーション)をキーワードに、映画のメッセージを紐解いていく内容です。
通過儀礼とは、子どもが共同体の構成員へと認められるために行う儀式のことを指します。
インドネシアのバンジージャンプなどが有名な例ですね。
本作では通過儀礼を以下の3段階に定義し、この観点から様々な映画を分析していきます。
1 分離(故郷などから安全な環境から離れる)
2 移行(試練が与えられる)
3 統合(新しい状態へ生まれ変わり、大人となる)
(文化人類学的観点から通過儀礼を分析した書籍としてはロバート・キャンベル「千の顔を持つ英雄」が詳しいのでご興味のある方はそちらもご一読下さい)
例えば、恋愛映画の古典中の古典である「ローマの休日」を、上記のメソッドで分析してみましょう。
①お転婆なお姫様がホテルを抜け出す(分離)
↓
②髪を切り、初めてのロマンスを経験。
葛藤の末に恋を諦め、王女としての役割を決意する(移行=象徴としての死、そして復活)
↓
③自らホテルに戻り、凛とした王女へと生まれ変わる(統合)
いかがでしょうか。たったこれだけの文章量なのに、1人の少女が王女として成長する過程が、ドラマチックにまとめられていると思いませんか?
このように、本書は通過儀礼の3段階で物語を分析することで、共感できるストーリーやキャラクターについての洞察を深めることができる1冊です。
このようなストーリー作りの技術は、コミュニケーションに関わる仕事でも役に立ちます。
製品紹介、サービス説明、社員紹介、インナー向けブランディング資料など、ストーリーが求められる箇所は多岐に渡ります。
本書からストーリーの「型」を学び、映画や小説を楽しめば、
その体験をより有意義な「インプット」に昇華できるのではないでしょうか。
本書以外にも、ストーリーづくりの関連書として「のめり込ませる技術 誰が物語を操るのか」
「物理学的ストーリー創作入門 売れる物語に働く6 つの力 」など多数の書籍が出版されています。
広告、広報などコミュニケーションを仕事にしている方は、ぜひ読んでみることをおすすめします。
それではまた。