会社情報
株式会社ジム
〒102-0074 東京都千代田区九段南4-7-22 メゾンドシャルー407
TEL:03-3230-3722 FAX:03-3230-4327
- 設立
- 1981年
- 資本金
- 1,000万円
- 従業員数
- 17名(グループ含む)
- 取引銀行
- みずほ銀行(市ヶ谷支店) 三井住友銀行(飯田橋支店)
- 事業内容
- グラフィックデザイン
- WEBデザイン
- 映像制作
- 展示会装飾デザイン
- HP
- https://www.gym-ts.com/
株式会社ジム
〒102-0074 東京都千代田区九段南4-7-22 メゾンドシャルー407
TEL:03-3230-3722 FAX:03-3230-4327
デザイナー、記者、番組製作者、カメラマン、ライター…世の中には多種多様な「伝える仕事」があります。
世の中に情報を伝えるという独特の責任感、そしてやりがいのある仕事です。
今回はそんな「伝える仕事」を描いた映画を通し、
その中で描かれたコミュニケーションについて、少しだけ考えてみたいと思います。
「NO」
2012年
チリ・アメリカ・メキシコ
1988年、ピノチェト将軍による軍事独裁政権が続くチリ。
政権延長の是非を問う国民投票のために、
政権派と反政権派がそれぞれのメッセージを訴えるTVCMを制作することになる。
CMクリエイターの主人公レネ(ガエル・ガレシア・ベルナル)は反政権派にCM制作を依頼されるが、
依頼主である反政権派も当初は難色を示すが、次第にこのCMが大きな話題を呼び始める。
しかし、あまりの影響力に危機感を抱いた政権派の思惑により、レネの身に危険が及び始め…
アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされるなど、高い評価を得ている「NO」は、
「伝える力」を考える上でも大きな示唆を与えてくれます。
本作のキモは何より、コミュニケーションにおける「ポジティブ表現」の威力を描いた点でしょう。
反政権派は当初、独裁政権が継続することによるデメリットを、
不安と恐怖を煽る暗い映像で訴えようとしていました。
しかし、レネは「独裁政権が継続する恐怖」ではなく、
「政権交代による明るい未来の可能性」を描くことを選びます。
このようなポジティブ表現は、広告に限らず、私たちのコミュニケーションを円滑にしてくれるテクニックです。
例えば、人を動かしたい時。
私のとある知人は禁煙したいと思いつつも、喫煙を止められずにいました。
非喫煙者の彼女から喫煙の危険性を度々指摘されつつも、中々踏ん切りがつきません。
そんな彼を禁煙へと動かしたのは、
「タバコを吸わなければ、2人で過ごせる時間が増えるじゃん」という、彼女がこぼした一言でした。
健康リスクの不安を煽るのではなく、禁煙によって「時間」や「2人の関係性」などの価値を
より豊かにできる、と指摘したこの一言により、彼は禁煙することを選んだと言います。
このように、ネガティブ(こんな悪いことがあるよ)よりも、
ポジティブ(こんなメリットがあるよ)を強調することで、
人の気持ちを動かしやすくなる場合があります。
本作も、そんなポジティブなメッセージによるコミュニケーションの力強さを描いています。
政治的サスペンス映画としてはもちろん、普段のコミュニケーションのヒントとしても楽しむことができる一作です。
「俺たちニュースキャスター 史上最低!?の視聴率バトルinニューヨーク」
2013年
アメリカ
主人公のロン(ウィル・フェレル)は、
新設ニュースチャンネル「GNN」にキャスターとして起用される。
しかし、充てがわれたのは視聴率を見込めない深夜の報道番組。
とても報道番組とは呼べない破天荒な企画を次々に実施する。
前代未聞の番組は高視聴率を獲得し、ロンは一躍放送業界の寵児となるが…
「視聴者に見せるべきものより、視聴者が見たいものを放送すればいい」
ロンが企画会議で発したこの一言をきっかけに、
番組は犯罪スレスレのエンターテイメントへと舵を切ってしまいます。
本作は2013年公開のアメリカ映画ですが、過剰な自国礼賛、刺激的な映像を求める視聴者などの描写は、
今日の日本を含む先進諸国のメディア状況を鏡写しにするようであり、
何も考えずに笑い飛ばせる方は少ないのではないでしょうか。
それだけに劇中後半、改心したロンが視聴者に語りかける一連のセリフは、
コメディ映画らしからぬ重さを持って見る者の心に響きます。
…と書くと非常に政治色が強い映画のようですが、主軸は本当〜〜にくだらないコメディ映画です。
カニエ・ウェストとジム・キャリーと神話の怪獣ミノタウロスが大乱闘するような映画です(本当にそういうシーンがあるんです)。
ナンセンスなコメディ描写で笑わせつつ、「私たちは本当に、見たいものだけを見るだけで良いのか?」と釘を刺すことも忘れない。
コメディ映画職人の矜持すら感じさせる、意外な快作です。
「パイレーツ・ロック」
2009年
イギリス・ドイツ
1960年代のイギリスでは、1日のラジオ放送のうち、ポップス音楽の放送は45分間に限定されていた。
主人公のカール(トム・スターリッジ)はひょんなことから海賊ラジオの一員となるが、
政府の規制の手は次第にカール達にも及び…史実を元にした、60’s音楽満載の青春映画。
素晴らしい出来事を体験したり、心を揺さぶる作品に出会った時、
その感動を誰かと共有したくてたまらなくなった、という方も多いのではないでしょうか。
この映画もカルチャーを愛し、共有することに生活を捧げた音楽ファン達を描いています。
また同時に、ラジオDJ達が有象無象の音楽ファンの代表となって不条理な規制に対抗する、
一種の政治活動(政治コミュニケーション)を描いた作品としても見ることができます。
もちろん基本的にルールは尊重すべきですが、時にはルールの方が間違っていることもあるでしょう。
その際はルールを規定する側に自分たちの意見を伝え、妥協点を探るためのコミュニケーション能力が求められます。
舞台となった60年代当時、主人公達ラジオDJは無数の他者とつながり、
彼らの声を代弁することができる数少ない存在でした。
「俺たちはこれが好きなんだ!」「この感動をもっと分かち合いたいんだ!」
そんな気持ちが国をも動かしてしまった事実に基づく、
まさにコミュニケーションの力を感じさせる一本です。
以上、「伝える仕事」をテーマに3本の映画をご紹介しました。
「NO」はチリの国民投票、
「俺たちニュースキャスター 史上最低!?の視聴率バトルinニューヨーク」はFOXニュース、
「パイレーツ・ロック」はBBCラジオと、図らずもそれぞれ史実をモチーフにした映画が並び、
「伝える仕事」が担ってきた役割の大きさが感じられる結果となりました。
世代間、集団間の断絶が叫ばれて久しい昨今だからこそ、
上記のような映画から、コミュニケーションが持つ力を感じたいものです。