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会社情報

株式会社ジム

〒102-0074 東京都千代田区九段南4-7-22 メゾンドシャルー407
TEL:03-3230-3722 FAX:03-3230-4327

設立
1981年
資本金
1,000万円
従業員数
17名(グループ含む)
取引銀行
みずほ銀行(市ヶ谷支店) 三井住友銀行(飯田橋支店)
事業内容
  • グラフィックデザイン
  • WEBデザイン
  • 映像制作
  • 展示会装飾デザイン
WORKS
HP
https://www.gym-ts.com/

2019.1.31

ジーンと伝わった、あの名作コピーたち。

こんにちは。伝え方NAVIを運営している株式会社ジムの代表  久保木肇です。たまに建設現場での撮影立ち会いのためにヘルメット&作業着姿で、相手に名刺を差し出すと「コピーライター」という肩書が、そのイデタチと違和感があるのか怪しげな顔をされます。そういう時こそ「良いコピーはいつも現場で生まれているんだ」と自分の信念を心の中で呟いています。

 

さて今回の記事は私の25年のコピーライター人生の中で、影響を受け心の奥の方に入り込んでなかなか出ていかない、私がとても好きなコピーを3つご紹介します。「好きなコピー」なので私の個人的な趣向に偏っていますが、当然ながらコピーを通じて商品の良さも十二分に伝わるとても性能の高い良いコピーたちです。

ちなみに私は1968年生まれで今年半世紀を迎える年なので選んだコピーはいずれも新しくはありません。

 

それではまずひとつめ

人は誰でもミスをする。[メルセデス・ベンツ日本]

 

このコピーは新聞広告15段でお目にかかりました。3歳位の女の子が手に持ったグラスのミルクを床にこぼしてしまったショットの脇に「人は誰でもミスをする。」のキャッチコピー。下の方に「ニューコンセプトメルセデス」の受けのコピー。ビジュアルに車体はなくクルマとわかるのは「メルセデス」の文字だけ。自動車の安全機能を訴求する広告であることは、すぐさま理解できるのですが私がこの広告を見た時に感じたのが<安全>と100回唱えても安全であるとは伝わらないですが、使い手の人間がミスをすることを前提に安全性能を考えているという開発理念というか企業姿勢が伝えることで、より深く安全への想いが伝わっています。<安全>というワードを使わずに安全であることを訴求するとても高性能なコピーです。このメルセデス・ベンツ日本の広告はシリーズになっていて他にも良いコピーがありました。「メルセデスの嘘。」というキャッチコピーに「ジーンズやスニーカーは似合わないクルマでしょうか?」とボディコピーが続く。。電通の角田誠さんというコピーライターの仕事です。良いコピー=いい仕事ですね。

このコピーのジーン度:★★

 

つづいてふたつめ

おいしい生活。[西武百貨店]

 

言わずと知れた糸井重里さんのコピーです。テレビCMで、新聞広告で、ポスターで。色々なところで目にしてきました。私は生まれも育ちも池袋に近かったので、よく見ましたが、地方ではオンエアされてなかったかもしれません。

 

ご覧になったことのない方のためにどんなテレビCMかというと

①あの名優ウッディアレンが着流し姿で正座しています。

②手にはなにやら巻物をもっているようです。

③恐る恐る(なのか、もったいつけてなのか)巻物を広げる。

④なんとも味のある毛筆で「おいしい生活。」と書かれているではないか。

※私の記憶だけで書いているのでディテールは異なるかもしれません。

 

この広告のどこにジーンときたのかと申しますと、

ひとつ目が、それまで味覚表現として用いられてきた「おいしい」という単語の使い道を広げてしまったこと。この後やたらと「おいしい話」「おいしい思い」「アイツおいしいところ持っていきやがって」みたいな少々不純な使われ方もしました。この時私は「言葉って生き物みたいに変わるんだ」と感動したものでした。

ふたつ目が、モノからコトに価値観が変わった瞬間に出会えたことにジーンときました。この当時はまだ「モノ」や「コト」などマーケティング的な用語はなかったと記憶しておりますが、今風に言うならば「プロダクトアウトではない表現」なのだと思いました。モノを売っている百貨店だからこそ、その根底にある暮らしや人の感情に届ける言葉を探していったのだと思います。

このコピーのジーン度:★★★★

 

そしてみっつめ

恋は、遠い日の花火ではない。[サントリー]

 

小野田隆雄さんというコピーライターが書いたサントリーNEWオールドのコピーです。う〜ん、このコピーについて何かを書くというのはかなり勇気のいることだと思います。自分の記憶や感覚だけでは、ちょっと頼りなかったので「恋は、遠い日の花火ではない。スペース 小野田隆雄」で検索すると、トップに出てきたのはコピーライター山本高史さんが宣伝会議に寄稿したコラムでした。ふむふむ、確かに、と読み進むうちに小野田さんがコピーを考えた企画背景がありましたので引用させていただきます。

 

以下引用〜

1994年は、8月のジュリアナ東京の閉店がバブルの終焉を念押しし、「失われた20年」は静かにスタートしていた。同年の新語・流行語大賞の「就職氷河期」や「価格破壊」という言葉が、世の中の低温感を語っていた。
「恋は、遠い日の花火ではない。」は、そんな年のそんな社会に登場した。リニューアルされた「NEWオールド」キャンペーンのコピーで、書いたのは小野田隆雄さん。小野田さんはその著書『職業、コピーライター』で次のように述べている。「あの頃、あまり明るいニュースのない時代が続き、右肩上がりの経済成長も終わった。団塊の世代前後の昭和の戦士たちは、くたびれていた。何が彼らの心を癒して、誰が彼らを勇気付けられるのだろうか。」その答えは、「誰かが自分を信頼し、暖かく見守ってくれていたら、きっとその人のためにも、元気よく生きられるだろう。」ということだった。そして「恋」のストーリーが紡がれる。

 

〜以上引用

 

当時の団塊の世代は50歳目前。ということは今この記事を書いている私(49歳)と同じ。団塊といえば最も人口の多い世代、日本経済を牽引してきた世代でもあります。役職的にも課長、部長、取締役クラスとすると洋酒メーカーとしてもターゲットに捉えたいところですね。でも広告の力を使って商品を人の心の中に送り込むのは容易なことではないです。そこへ「恋」という普遍のテーマをもってくる手練の技。「もう恋なんて」と口ではいいつつも「もしかして・・」という線香花火が胸の奥でチチチチチッとくすぶっている団塊の世代の心のスキマを、すかさず見つけ出して、微量の火薬を補充する。「恋は、遠い日の花火ではない。」このコピーには心の奥にしまっておいたものを呼び覚ましてしまう力がありました。こんな時にはやっぱり炭酸シュワシュワの酒よりも、グラスの中でカランと音をたてるウイスキーが似合うのは間違いないです。

 

このコピーのジーン度:★★★★★

 

ジーンと伝わる大切さ、その伝わり具合を擬音で表してみると、、。

 

ズバッと伝わる:これは言いたいことが的確に伝わるときに使いますね。明快で気持ちの良い伝わり方ですね。

 

パッと伝わる:これは瞬間的に伝わる時に使いますね。分かりやすい表現ができた時にこんな伝わり方します。

 

ジーンと伝わる:読んだ瞬間にある程度は伝わるのですが、時間の経過とともにより深く伝わるもの。スルメや漢方薬みたいに持続効果のある伝わり方。

 

【まとめ】

コピーの伝わり方はいろいろあって、それぞれに特長があるものです。企業のプロモーションのコピーを書いていると、分かりやすさや理解のスピード感を求められることが多いですが、今回の記事で紹介したようなジーンと伝わるコピーたちは永い時間を経て、企業価値やブランドの特性を人の心の中に留めておく力がありますので、広告効果の高いコピーといえます。

企業として永く使い続けられるコピーをこの機会に考えてみてはいかがでしょうか?


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